・2-1.化学物質管理者の選任
1 化学物質管理者の選任、管理すべき事項等 |
(1) 安衛則第12条の5第1項関係 |
ア 化学物質管理者は、ラベル・SDS等の作成の管理、リスクアセスメント実施等、化学物質の管 |
理に関わるもので、リスクアセスメント対象物に対する対策を適切に進める上で不可欠な職務を |
管理する者であることから、事業場の労働者数によらず、リスクアセスメント対象物を製造し、 |
又は取り扱う全ての事業場において選任することを義務付けたこと。 |
なお、衛生管理者の職務は、事業場の衛生全般に関する技術的事項を管理することであり、ま |
た有機溶剤作業主任者といった作業主任者の職務は、個別の化学物質に関わる作業に従事する労 |
働者の指揮等を行うことであり、それぞれ選任の趣旨が異なるが、化学物質管理者が、化学物質 |
管理者の職務の遂行に影響のない範囲で、これらの他の法令等に基づく職務等と兼務することは |
差し支えないこと。 |
イ 化学物質管理者は、工場、店社等の事業場単位で選任することを義務付けたこと。したがって、 |
例えば、建設工事現場における塗装等の作業を行う請負人の場合、一般的に、建設現場での作業 |
は出張先での作業に位置付けられるが、そのような出張作業先の建設現場にまで化学物質管理者 |
の選任を求める趣旨ではないこと。 |
ウ 化学物質管理者については、その職務を適切に遂行するために必要な権限が付与される必要が |
あるため、事業場内の労働者から選任されるべきであること。また、同じ事業場で化学物質管理 |
者を複数人選任し、業務を分担することも差し支えないが、その場合、業務に抜け落ちが発生し |
ないよう、業務を分担する化学物質管理者や実務を担う者との間で十分な連携を図る必要がある |
こと。なお、化学物質管理者の管理の下、具体的な実務の一部を化学物質管理に詳しい専門家等 |
に請け負わせることは可能であること。 |
エ 本規定の「リスクアセスメント対象物」は、改正省令による改正前の安衛則第34条の2の7第1 |
項第1号の「通知対象物」と同じものであり、例えば、原材料を混合して新たな製品を製造する |
場合であって、その製品がリスクアセスメント対象物に該当する場合は、当該製品は本規定のリ |
スクアセスメント対象物に含まれること。 |
オ 本規定の「リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う」には、例えば、リスクアセス |
メント対象物を取り扱う作業工程が密閉化、自動化等されていることにより、労働者が当該物に |
ばく露するおそれがない場合であっても、リスクアセスメント対象物を取り扱う作業が存在する |
以上、含まれること。ただし、一般消費者の生活の用に供される製品はリスクアセスメントの対 |
象から除かれているため、それらの製品のみを取り扱う事業場は含まれないこと。 |
また、密閉された状態の製品を保管するだけで容器の開閉等を行わない場合や、火災や震災後 |
の復旧、事故等が生じた場合の対応等、応急対策のためにのみ臨時的にリスクアセスメント対象 |
物を取り扱うような場合は、「リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う」には含まれ |
ないこと。 |
カ 本規定の表示等及び教育管理に係る技術的事項を「他の事業場において行っている場合」とは、 |
例えば、ある工場でリスクアセスメント対象物を製造し、当該工場とは別の事業場でラベル表示 |
の作成を行う場合等のことをいい、その場合、当該工場と当該事業場それぞれで化学物質管理者 |
の選任が必要となること。安衛則第12条の5第2項についてもこれと同様であること。 |
キ 本項第4号については、実際に労働災害が発生した場合の対応のみならず、労働災害が発生し |
た場合を想定した応急措置等の訓練の内容やその計画を定めること等も含まれること。 |
ク 本項第7号については、必要な教育の実施における計画の策定等の管理を求めるもので、必ず |
しも化学物質管理者自らが教育を実施することを求めるものではなく、労働者に対して外部の教 |
育機関等で実施している必要な教育を受けさせること等を妨げるものではないこと。また、本規 |
定の施行の前に既に雇い入れ教育等で労働者に対する必要な教育を実施している場合には、施行 |
後に改めて教育の実施を求める趣旨ではないこと。 |
(2) 安衛則第12条の5第3項関係 |
ア 本項第2号イの「厚生労働大臣が定める化学物質の管理に関する講習」は、厚生労働大臣が定 |
める科目について、自ら講習を行えば足りるが、他の事業者の実施する講習を受講させることも |
差し支えないこと。また、「これと同等以上の能力を有すると認められる者」については、本項 |
第2号イの厚生労働大臣が定める化学物質の管理に関する講習に係る告示と併せて、おって示す |
こととすること。 |
イ 本項第2号ロの「必要な能力を有すると認められる者」とは、安衛則第12条の5第1項各号の事 |
項に定める業務の経験がある者が含まれること。また、適切に業務を行うために、別途示す講習 |
等を受講することが望ましいこと。 |
(3) 安衛則第12条の5第4項関係 |
化学物質管理者の選任に当たっては、当該管理者が実施すべき業務をなし得る権限を付与する必 |
要があり、事業場において相応するそれらの権限を有する役職に就いている者を選任すること。 |
(4) 安衛則第12条の5第5項関係 |
本規定の「事業場の見やすい箇所に掲示すること等」の「等」には、化学物質管理者に腕章を付 |
けさせる、特別の帽子を着用させる、事業場内部のイントラネットワーク環境を通じて関係労働者 |
に周知する方法等が含まれること。 |
2-2.保護具着用管理責任者の選任
2 保護具着用管理責任者の選任、管理すべき事項等 |
(1) 安衛則第12条の6第1項関係 |
本規定は、保護具着用管理責任者を選任した事業者について、当該責任者に本項各号に掲げる事 |
項を管理させなければならないこととしたものであり、保護具着用管理責任者の職務内容を規定し |
たものであること。 |
保護具着用管理責任者の職務は、次に掲げるとおりであること。 |
ア 保護具の適正な選択に関すること。 |
イ 労働者の保護具の適正な使用に関すること。 |
ウ 保護具の保守管理に関すること。 |
これらの職務を行うに当たっては、平成17年2月7日付け基発第0207006号「防じんマスクの選択、 |
使用等について」、平成17年2月7月付け基発第0207007号「防毒マスクの選択、使用等について」 |
及び平成29年1月12日付け基発0112第6号「化学防護手袋の選択、使用等について」に基づき対応す |
る必要があることに留意すること。 |
(2) 安衛則第12条の6第2項関係 |
本項第2号中の「保護具に関する知識及び経験を有すると認められる者」には、次に掲げる者が |
含まれること。なお、次に掲げる者に該当する場合であっても、別途示す保護具の管理に関する教 |
育を受講することが望ましいこと。また、次に掲げる者に該当する者を選任することができない場 |
合は、上記の保護具の管理に関する教育を受講した者を選任すること。 |
① 別に定める化学物質管理専門家の要件に該当する者 |
② 9(1)ウに定める作業環境管理専門家の要件に該当する者 |
③ 法第83条第1項の労働衛生コンサルタント試験に合格した者 |
④ 安衛則別表第4に規定する第1種衛生管理者免許又は衛生工学衛生管理者免許を受けた者 |
⑤ 安衛則別表第1の上欄に掲げる、令第6条第18号から第20号までの作業及び令第6条第22号の作 |
業に応じ、同表の中欄に掲げる資格を有する者(作業主任者) |
⑥ 安衛則第12条の3第1項の都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を終了した者その他安 |
全衛生推進者等の選任に関する基準(昭和63年労働省告示第80号)の各号に示す者(安全衛生推進 |
者に係るものに限る。) |
保護具着用管理責任者は、保護具に関する知識及び経験を有すると認められる者のうちから選任することが定められており、例えば次に示す者が挙げられます。 1化学物質管理専門家
2作業環境管理専門家 3労働衛生コンサルタント 4第一種衛生管理者または衛生工学衛生管理者 5作業主任者(特化物、鉛、四アルキル鉛、有機溶剤のいずれか) 6安全衛生推進者 7保護具着用管理責任者教育カリキュラムを修了した者 |
(3) 安衛則第12条の6第3項関係 |
保護具着用管理責任者の選任に当たっては、その業務をなし得る権限を付与する必要があり、事 |
業場において相応するそれらの権限を有する役職に就いている者を選任することが望ましいこと。 |
なお、選任に当たっては、事業場ごとに選任することが求められるが、大規模な事業場の場合、保 |
護具着用管理責任者の職務が適切に実施できるよう、複数人を選任することも差し支えないこと。 |
また、職務の実施に支障がない範囲内で、作業主任者が保護具着用管理責任者を兼任しても差し支 |
えないこと(9(4)に係る職務を除く。)。 |
(4) 安衛則第12条の6第4項関係 |
本規定の「事業場の見やすい箇所に掲示すること等」の「等」には、保護具着用管理責任者に腕 |
章を付けさせる、特別の帽子を着用させる、事業場内部のイントラネットワーク環境を通じて関係 |
労働者に周知する方法等が含まれること。 |
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